5章
そこには、ゼンがいた・・・
そしてゼンに向き合っているAC・・・
肩のエンブレムには巨大な翼と牙を持つ黒大蛇、そしてコアにはこう書いてあった・・・
「Creator」・・・
その漆黒の中量2脚ACを駆るレイヴンは
アリーナに選ばれしレイヴンだけが名乗ることができる「ランカー」・・・
そこのトップに君臨している・・・
クリエイター・・・創造者の意
突然、ゼンからの通信。
「・・お前・・・来るな・・・勝てるはず・・・がない・・。」
ゼンのACはもう動かなくなっていたが、かろうじてゼンは生きていた。
「おい!だいじょうぶか!?」
ジャンクは必死にゼンを呼びかけたが、敵ACの存在に気づき、
機体を反転させた。
「お前がこのACたちを・・・」
ジャンクは初対面のこの最強レイヴンに話しかけた。
「・・・そうだ。つまらないやつらだったな。最後のレイヴンを除いて」
「ということはお前が、テロリストの幹部!?」
「違うな。俺は・・・」
「そう・・・このテロリストの総長だ。」
ジャンクは絶句した。この圧倒的な威圧感・・・
勝てるはずがない。というゼンの言葉にも納得した。
「ここに来るということはリオルスを破ったのだな?」
「・・さっきの4脚ACか?」
「そうだ。さすがシンの孫だな。」
相手にほめられるのはあまりいい気持ちにはなれなかったが
ジャンクは自分の立場を思い出して、
「俺のミッションはお前らを撃破することだ。このまま見過ごすわけにもいかん!」
相手の威圧感に負けじとジャンクは言った。
「無駄だ。貴様に勝ち目はない。」
挑発されたジャンクは、OBを吹かした。
「やってやるぜっ!」
一瞬の閃光・・・
「――――ッ!?」
ジャンクACのOBは止まった。
敵ACのブレードは精密にジェネレーターのエネルギー生成部分に差し込まれていた。
「・・速すぎる・・・それになんという精密さ・・・」
敵ながら驚嘆せざるを得なかった。
最強の鴉は言った。
「お前に勝機はない・・・早く帰還しろ。 無駄死にしたくないのなら。」
「また会うことになるだろう。必ず。」
そうして、最強の称号を持つ鴉は去っていった・・・
身動きの取れないジャンクはミラージュの回収ヘリをただただ待つだけだった。
ジャンクはガレージに帰っても、いまだあのシーンを忘れずにいた。
あの圧倒的なまでの強さ、威圧的な声、そして何もかも食い尽くすような目・・・
そんなことを考えていたジャンクだったが、疲れのためか睡魔に勝てず、眠りに落ちてった。
次の日・・・
ジャンクは久しぶりに朝早く起きた。昨日のミッションは成功しなかったが、前金があったので
これで当分の間は暮らせる。
レイヴンの収入は一般人よりはるかに高い。それもジャンクがレイヴンになりたかった理由でもある。
メインには相変わらずメールが来ているランプが点灯している。ジャンクは暇だったので開いてみた。
ゼン・・・1
???・・・1
「???って誰だ?まぁいいや、ゼンのを見るか・・・」
ゼン・ストロイン
この前は世話になった。
どうやら専属レイヴンをのぞいて、この前のミッションの死亡者はいないそうだ。
明らかに、普通のレイヴンを撲滅させるという目的ではなさそうだ。
だが、専属だけ狙うとは・・・なにか企業に恨みでもあるかのようだ。
まぁ今後も要注意だ。
「ゼンのメールは相変わらず固いな。さぁ次は???だ。誰なんだ。」
シン・レイザーだ。
このメールに添付してあるデータを見てくれ。
「シン・・・まさか・・・」
ジャンクは添付してあるデータを再生してみた。
「これ・・・地図!?」
それは地図だった。サームト荒野に×印がついている。
「随分古風なマップだな。まぁ行ってみるか。罠なわけないもんな」
ジャンクは愛機「ゼロ・バスター」に乗り、サームト荒野へ向かった。
「ほんとになにもねぇとこだな。で場所はどこだっけ・・・」
ジャンクはデータを再生した。
マップには今ジャンクが立っている所を指していた。
「ここ?なんにもねぇじゃんか!」
目を凝らしてみてもそこには何もない。熱源反応も・・・もちろんない。
ジャンクはイラついて肩のグレネードを地面に打ち込んだ。
「ったく、嘘だったのか・・・・ってこれなんだよ。おい」
突然ジャンクのしたの地面が揺れ始めた。
揺れが収まるとそこには大きなゲートが見えていた。
「マジ・・・かよ。」
恐る恐るジャンクはゲートを開き、地下の「約束の場所」へと降りていった・・・
「これは・・・AC!?」